中央アジア最大のファッション・ウイークはガーリーでもストリートでも足元は“ミスマッチ”が流行

カザフスタン南東部の都市アルマトイで、2019-20年秋冬シーズンの「ファッション・ウイーク・アルマトイ(FASHION WEEK ALMATY)」が5月14~16日に開催された。アルトマイは天山山脈の支脈を街のどこからでも望むことができる大自然の宝庫で、1998年まではカザフスタンの首都だったこともあり、文化や流行の発信地として知られている。5年前から年2回開催されているファッション・ウイークには、主に中央アジアの国々から多くの人が参加している。地元カザフスタン発のブランドは、女性であることを楽しむかのようなガーリーなテイストを提案するブランドが多かったが、オフランウエイではガーリー派とストリート派に2極化した。

ガーリー派はギンガムチェックやフラワー、ドットなど王道のプリント柄で華やかに飾る。ストリート派はサイクリングパンツやウエストポーチ、カーゴパンツといったトレンドアイテムを用いたスポーティーな要素が強い装いだ。他の都市と同じくダッドスニーカーが支持されており、「ナイキ(NIKE)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の着用率が高かった。ガーリー派はスニーカーをハズしのアイテムとして取り入れているのに対し、ストリート派はミュールやパンプスで足元を飾るなど、あえての“ミスマッチ”なスタイリングはどちらにも見られた。

着用ブランドで断然多かったのは、女性は「ジャックムス(JACQUEMUS)」、男性は「バレンシアガ」と「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」で、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のベルトやバッグなどの小物は男女ともに愛用者が多かった。

キム・ジョーンズが「ジーユー」コラボを語る 「ルイ・ヴィトン」退任後の将来も直撃

ファーストリテイリング傘下の「ジーユー(GU)」とコラボレーションして3月21日に“キム・ジョーンズ ジーユー プロダクション(KIM JONES GU PRODUCTION)”を発売するキム・ジョーンズが、コラボレーションに関してインタビューに応じた。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON以下、LV)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターを退任したばかりのキムは、コラボの経緯や、「ジーユー」と「LV」におけるクリエイションの違い、商品の一部やスペシャルロゴを配した限定アイテムを先行販売するドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA以下、DSMG)のポップアップ(17〜20日)などについて語った。

今回、なぜ「ジーユー」とコラボレーションすることにしたのか?

10年前に休止した、「キム・ジョーンズ」のコレクションを、今の若い世代に着て欲しいと思った。SNS経由で若い人から、「『キム・ジョーンズ』というブランドの洋服を着てみたい!!」との声を聞く機会が増えた。(「LV」で働き、有名になったおかげで)若い世代が僕のことを調べ、「キム・ジョーンズ」というブランドの存在を知り、興味を持ってくれたみたいなんだ。それなら、みんなが買える価格帯で商品を提供したい。そう考えた時、「ユニクロ(UNIQLO)」の姉妹ブランドである「ジーユー」が、価格とクオリティのバランスにおいて一番なんじゃないか、って思ったんだ。楽しくって、気軽に着られる。そんな洋服を、特に日本を中心とするアジアの若い世代に提供できれば、って思ったんだ。僕自身、さまざまな経験を通し、大きく成長した。あの時のクリエイションを蘇らせ、今も通用することを示すのは、面白いプロジェクトになりえるんじゃないかな、って考えたんだ。

日本は、早くから「キム・ジョーンズ」というブランドを受け入れてくれた国の一つだから。コレクションを発表するようになって間もない頃、日本で全身「キム・ジョーンズ」の男の子を見て感動したのを覚えている。できれば故郷のイギリスでも発売したかったけれど、日本からローンチできて、とても嬉しいよ。

まったく違うものだ。まず、ターゲットが違う。そして「LV」のクリエイションは、最高級の素材を使い、最高の職人が形にするもの。そして藤原ヒロシやチャップマン・ブラザーズら、一流のアーティストが参画してくれた。一方の「ジーユー」は、10年前の僕自身のクリエイションが、今の時代にも通用することを示す試み。ある意味、僕自身の過去を祝うような、パーソナルなものだ。

この価格で、このクオリティの商品を生み出すことができるのは、本当に凄いこと。(4990円で販売する)デニムジャケットも、“デニムオタク”の友達からデニム工場の職人まで、皆に「刺しゅう入りのGジャンが、どうしてそんな値段で作れるの!?」って驚かれたし、僕自身も驚いた。ファッションが大好きな若い世代に、手の届く価格帯で商品を提供できるのは、本当にすばらしいことだ。元々、「ジーユー」の“お兄さん”ブランドである「ユニクロ」が、デザイナーと取り組むコラボプロジェクトは面白いと思ってきた。でも、「ジーユー」がデザイナーと協業するのは、初めてのこと。まるで真っ白なキャンバスに筆を下すかのようなチャレンジで、興奮したよ。

皆を驚かせたかったし、僕自身の人生の節目をお祝いしたい気持ちもあった。エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)=コム デ ギャルソン インターナショナル(COMME DES GARCONS INTERNATIONAL)最高経営責任者(CEO)兼ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)CEOは長年僕をサポートしてくれたし、“キム・ジョーンズ ジーユー プロダクション”も気に入ってくれた。何より、昔「キム・ジョーンズ」を買ってくれた人に、今度はDSMGで“復刻コレクション”を買って欲しい。

今までと違うことをやらなくちゃ、新たなモノは生み出せないと思っている。それに、スニーカーのことなら(コラボレーションの経験がある)「ナイキ(NIKE)」が一番良く知っているように、これまでと違う“何か”に挑戦するなら、その道のスペシャリストと組むのが一番だ。ストリートのことなら(藤原)ヒロシや「シュプリーム」、スニーカーなら「ナイキ」。それだけのこと。常に心掛けているのは、どんなジャンルでも“クール”な人たちと働くことだ。若い世代に、手頃な価格で洋服を届けたいと思ったら、そのジャンルで一番“クール”だったのは、「ジーユー」だったんだ。

全くない。今、インディペンデントなデザイナーを続けるのは、本当に大変。若いデザイナーは、心から尊敬するよ。

今日は「ジーユー」のインタビューだから、答えられない(笑)。おかげで、いろんなブランドから連絡をもらっている。一つ一つ吟味し、ある時は「NO」と答えるし、ある時は「YES」と答えている。今言えるのは、それだけ。お楽しみに(笑)。

商品は3月21日、「ジーユー」国内の超大型店・大型店とオンラインストア、台湾の一部店舗とオンラインストア、香港の全店舗で販売する。

「グッチ」がフィレンツェの新名所でビョーク展を開催 制作に約900時間を要した衣装も

「グッチ(GUCCI)」は、伊フィレンツェの新名所「グッチ ガーデン(GUCCI GARDEN)」の展示スペース内の2つのホールを、ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)の初日である6月12日にオープンした。同建物の1階部分のこの展示スペースでは、さまざまなアーティストによるプレゼンテーションやインスタレーションを入れ替えで展示していく。第1回の展覧会では、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターが衣装を手掛けたこともあるアイスランドのシンガー、ビョーク(Bjork)にオマージュを捧げる。

展覧会では、2017年にリリースされた「The Gate」のミュージックビデオ(以下、MV)のために制作したビョークの衣装も展示。この衣装はデザインに550時間、刺しゅうに320時間以上を費やした。素材には5mを超すプリーツ加工の虹色のPVC素材やルレックスのオーガンザなどを使用し、ところどころに花モチーフのビジューや真珠があしらわれている。その他、MVの世界観を表す本の数々、チュールのドレスやアーティストのジェームズ・メリー(James Merry)によるマスク、ミケーレによるさまざまな色に光るレザーのアンクルブーツやソールを付け替えできるプラットフォームシューズ、シルバーのレザーのバレエシューズなど、ビョークが着用した衣装やアクセサリーが展示されている。キュレーター兼ファッション批評家のマリア・ルイーザ・フリーザ(Maria Luisa Frisa)がビョークやアイスランドに関する本や雑誌、カタログを収集した。

また「グッチ」は、「グッチ ガーデン」の展示スペース内の“Cinema da Camera”と名付けた、映画やフィルム作品の上映スペースもアップデートした他、建物内の店舗限定で、ロンドンを拠点に活動するアーティスト、イザベラ・コティヤー(Isabella Cotier)とのコラボコレクションを発売した。コラボコレクションは、コティヤーによるフィレンツェの街並みなどのカラフルなイラストを施したTシャツやスエット、フーディーなどのアパレル商品の他、マグカップやキャンドルなどもそろえる。

「グッチ ガーデン」は、ミケーレが自身のクリエイションの中核となる折衷主義をベースに、メルカンツィア宮殿内のフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)前クリエイティブ・ディレクターが手掛けた「グッチ ミュゼオ(GUCCI MUSEO)」を作り変えたもので、18年1月にオープンした。

「ユークシジェンアワード」受賞、マリッサ・ペッテルーティが手がけるエココンシャスなコレクション

ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)は、「2018ユークシジェンアワード(2018 YOOXYGEN AWARD)」で優勝したマリッサ・ペッテルーティ(Marissa Petteruti)のデザイナーデビューを飾るカプセルコレクション「アメンドメント・バイ・ユークス(AMENDMENT X YOOX)」を、5月16日に公式オンラインストアで発売する。

同アワードは、「ユークス」と米・ニューヨークのパーソンズ美術大学が2017年に締結したサステイナブルファッションを促進するパートナーシップをもとに始まった。同アワードに選出された卒業生はサステイナビリティーをテーマにしたカプセルコレクションを製作する。

ペッテルーティが手掛ける同カプセルコレクションは、“ユニフォーム・ドレッシング”をコンセプトに、よりコンパクトなワードローブ作りを可能にする全11型をそろえる。ファスナー使いでジャケットになるジーンズや、パンツに変形するクルーネックのスエットシャツなど、1つのアイテムで複数の用途を実現する。衣類は認証済みの100%オーガニックコットンを使用。デニムは人々の健康や環境に害のある加工技術を使わずに、限定的なウオッシュ加工とレーザー加工の新技術を用いてダメージ加工を実現した。価格帯は、7800~2万7300円。

中国の春節祝うアイテム続々

中国では、1月28日に旧正月「春節」を迎える。ファッションブランドでも春節を祝したアイテムを販売。ここでは記念アイテムを販売する3ブランドを紹介する。

ロエベ(LOEWE)」は、 “バルセロナ フラワー バッグ”(33万3000円)と“T ポーチ フラワー”(13万8000円)を販売。パッチワークのようなカラフルな花は水仙がモチーフで、マルケトリーインレザーというカッティング技術と職人技によって製作している。素材はバッグがボックスカーフ、ポーチがカーフを用い、色は鮮やかなイエローとブラックの各2色をそろえる。

「フェンディ(FENDI)」は、ブランドを象徴する「レインボー スタッズ」と、中国の人々にとって幸運を表すレッドカラーからインスピレーションを得て限定のカプセルコレクションを販売。コレクションは、全て赤いレザーで“バックパック”(24万5000円)、“マイクロ ピーカブー”(21万円)、 “チェーン付き 財布”(12万5000円)など。世界のフェンディブティックとオンラインストアで販売している。

「モンクレール(MONCLER)」は、鮮烈な赤にゴールドをアクセントにしたリバーシブル仕様のジャケットを1月下旬に販売する。酉年の2017年を記念して、モンクレールのブランドエンブレムでもある雄鶏を用いた。ウィメンズでは雄鶏モチーフをブロケード刺しゅうで表現し、メンズは背中に雄鶏の刺しゅうを施した。価格はウィメンズが25万7000円、メンズが18万3000円。

韓国カルチャー誌「マップス」編集長がみる日韓ユースカルチャーの今

韓国で若年層から支持を得るファッション&カルチャー誌「マップス(MAPS)」は28日まで、日本で初めてのポップアップイベントをラフォーレ原宿2階のポップアップスペースで開催している。アーカイブや「リトル サニー バイト(LITTLE SUNNY BITE)」などのアパレルブランドとのコラボグッズを販売する。

「マップス」はとてもユニークな作りをしている。アートブックのように写真だけが並んでいたり、テキストが韓国語、日本語、英語、時にはフランス語やロシア語などでも綴られていたりする。そして広告はほとんど入らない。「マップス」独自の世界観を作り上げるリュウ・ドヨン編集長に、雑誌というメディアへの考え、そして現在のユースカルチャーについて聞いた。

「マップス」を創刊したきっかけは?

リュウ・ドヨン編集長(以下、リュウ):僕が22歳の時、2006年に創刊した。その頃の韓国はローカルマガジンがあまりなくて、ライセンスマガジンが多かった。カルチャーやファッションが好きな人に向けて独自の発信をしたいと思ったことがきっかけだ。

最初から今のアートブックのようなスタイルだった?

最初はもっと広告も入っていたが、5年前にコンセプトを変えた。アートというより、ユースカルチャーを反映したら今の形になった。

各国で撮影をし、言語も多様だ

各国のローカルカルチャーを発信したいと思っているので、必要になるたび現地のカメラマンやスタイリストでチームを作っている。 言語がさまざまなのは、撮影した国の言語を使っているから。日本は近いし、撮影機会が多い。

なぜ日本でポップアップを行う?

昨年、東京でドキュメンタリームービーを作った。「マップス」は半年単位でメインテーマを設けていて、これは「ノスタルジア」というテーマの始まりの記念。(元AKBでタレントの)小嶋陽菜や(インフルエンサーの)AMIAYAなど6人に出演してもらって、11月には東京で上演会を開いた。そこからもっと日本でも活動したいと思い、友達を通じて知り合ったCoogeeの鈴木ヒロユキ代表が間に入ってくれて、今回のポップアップが決まった。展示会もしてみたかったし、いいタイミングだった。

「マップス」と歩んできたブランドや、日本のブランドともコラボした。一緒に歩んできた友達と日本にあいさつをする、という意味合いで企画した。

「マップス」は独自の世界観があるが、着想を得ているものはあるのか?

インスピレーションがあるのではなく、常に頭を回している。一般的なもの、平凡なものを変わったものに変えるのがいいなと思っている。独特な人が独特なものを作るって、普通でしょ(笑)。かわいいアイドルを「マップス」の色に染めるなど、相手にとっても新しいことをしたいと思っている。

表紙には日本人も起用しているが。

小嶋陽菜や(モデルの)秋元梢などを起用したことがあるが、周りが推薦してくれた。周りの友達が“「マップス」の世界観”を理解してくれていて、常にその世界観に合う人を考えてくれている。ヒョナやイドン、東方神起やiKONのBOBBYなど韓国のスターを起用したこともあったが、旬の人だから起用しているわけではない。人気っていつか下がるし、人はやがて死ぬ(笑)。旬や人気という永遠でないものが理由ではなく、「マップス」という世界観が作りたかっただけだ。

なぜ広告がこんなに少ないのか?

ブランドの発信することは、自分からの発信ではないと感じた。なじみのない、ブランドが発するテキストを排除したかった。メディアはブランドの代理店ではないから。今も広告がないわけではなくて、依頼は来るし、その号のコンセプトや「マップス」自体に合っていると思えば広告も入れる。ハイブランドもエディ・スリマン(Hedi Slimane)の「セリーヌ(CELINE)」やリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)の「バーバリー(BURBBERY)」など僕たちの世界観に合うブランドが増えて、広告が浮かなくなってきた。化粧品のブランドは、僕たちの思うアートな形で撮らせてもらいたいので、大体のクライアントは嫌がる。だからあまり入らない(笑)。

広告が入らず、どのように収益を上げている?

ブランドのコンサルティングや企業の顧問などをしている。広告が入らなくても稼ぐ手段はけっこうある。

日本では“紙離れ”が深刻だが、韓国では?

韓国でもそれは同じ。僕は紙にこだわっているわけではなく、今までやってきたことだったから、そのまま紙でやるのが自然だったということ。みんながやめていっていることをやるのも、面白いしね。でも、紙をたくさん使うと、木が減る(笑)。部数が増えていったらその分、木を植える。

ユースカルチャーは今、どう変化してきている?

ストリートカルチャーやハイファッションなど、商業的な意図でカテゴリーを区切っている。メジャーとかアンダーグラウンドとか、本来であればそれは自然に出てくるものだ。その時代に逆らいたいという思いを持つ人が、新しいものを作ることがユースカルチャー。本当にそういう気持ちをもっている人が作るものは、「ユースカルチャー」なんて書いていなくても、それが表現されている。しかし、今はそういう気持ちがない人が「ユースカルチャー」と書いた、表面的なものを作っている印象だ。例えば40年ほど前、サーフィンをしていた人が陸地でもサーフィンをしたいという思いから、スケートボードが生まれた。そういう純粋な思いが新しいユースカルチャーを作ると思う。

日本のユースカルチャーについてはどう感じる?

自分が中学生だった頃は、欧米の影響を受けつつも日本らしさを加えた日本のカルチャーや、そこから生まれたブランドも好きだった。今は日本らしさを排除して、そのまま海外からの影響を受けているように見える。原宿を見ても、韓国のカンナムや明洞とどう違うのかな、と思ってしまう。みんなが同じブランドを着ている。

韓国のユースカルチャーは?

韓国でもそうだ。今は商業的なものがみんな同じ方向に向かっているし、それはそれでいいと思う。僕の好みと異なるだけで、悪い意味ではない。それが一つの流れで、10年後にはそれこそが“ユースカルチャー”だといわれているかもしれないし。ただ、今の若者が大人になって、その商業的な流れに飽き始めた時に、「マップス」が「マップス」らしくあり続けられていたら、それをまた新しい視点で受け入れてくれるかもしれない。

「平成最後の夏」はなぜ若者を惹きつけるのか、ホテルプロデューサー龍崎翔子&roseに聞く

「平成最後の夏」というキーワードが今夏、SNSを中心に話題だ。平成生まれのミレニアル世代にとっては初めて元号が変わる年で、しかもそれが先にわかっているからだろう。大阪にある“SNSの友だちが少し増える”ホテル「ホテルシー(HOTEL SHE,)」でも8月末、平成の思い出の名曲をオールナイトでプレイする、泊まれるフェス「音楽フェス平成ラストサマー」を開催する。クラウドファンドで宿泊付きチケットを販売し、すでに完売だ。なぜ「平成最後の夏」は若者を惹きつけるのか。イベントを企画したホテルプロデューサーの龍崎翔子とイベントのクリエイティブを手掛けるデザイナーのroseの2人に話を聞いた。

今回「平成ラストサマー」がテーマのイベントを開催しますが、もともと2人は面識があったんですか?

お互いツイッターでフォローし合ってて、(龍崎)翔子さんの「『平成ラストサマー』というイベントをやりたい」という投稿を見て、私が平成元年生まれということもあってご一緒したいと思い、メッセージを送りました。

もともとすごくかわいいプロダクトを作る人だなあと思って見ていました。だから、やりたいと言っていただいたので「やりましょう!」と(笑)。カフェでお会いして話をして、そのあとはメッセージベースでイベントのクリエイティブ面をお願いすることになりました。よく考えたら今日お会いするのが2回目。初対面以来ですね(笑)。

そもそもイベント自体、龍崎さんがツイッターでやりたいと発信したことがきっかけで始まりましたね。

そうですね。4月末くらいの深夜に社員と話をしていて、「平成振り返りたいよね」という流れからすぐに概要が決まって。ツイッターで「やりたい!」と言ったら、DJをやってくれる先輩から音楽を担当すると連絡をいただいたりして。

今でこそみんなが使うフレーズになりましたけど、「平成ラストサマー」「平成最後の夏」って言いはじめたの多分、翔子さんなんですよ(笑)。

今回のイベントもそうですが、「ホテルシー」では世の中の潮流をコンテンツとして取り込むのがすごく上手だと感じます。

ホテルをやるときに「50年愛されるものを作るべきだ」みたいなことをよく言われますが、これは誰でも来ることができるホテルの公共性ゆえだと思うんです。ホテルは通常変わらないことに価値があると思われているんですよね。もちろん、変わらずに愛されるいいものというスタンスはすごく素敵なんですけど、ホテルも商品の1つで、消費対象だから、あまりに継続性を意識しすぎると商品群としての選択の楽しみがなくなってしまう。ホテルも、アパレルみたいに流行や文化を反映することができるはずだと思うんです。

流行を反映した“変わりゆく”ホテルというのは、“公共性”の対極にあるビジネスなんでしょうか。

全ての人に好きになってもらう必要はなくて、数あるホテルの選択肢の1つでいいんです。

ある共通の趣味を持つコミュニティーに向けて、自社のコンテンツを発信するイメージですね。

イベントで流す音楽をツイッターで募集したのですが、今の時代、カラオケでみんなが歌える歌がないんだなあと実感しました。良くも悪くも趣味がコミュニティーごとに最適化されていて、カラオケのランキング上位っていまだに90年代の曲だったりするんですよね。

“大塚愛”みたいな公共性がなくなりましたよね。社内で話してたんですけど、「平成が終わる」というイベントは、もしかしたら全世代的な最後の熱狂になるんじゃないかと。若者期の終わりのような気がして、なんだかエモいんですよね。

たしかに、西暦2000年みたいなタイミングって、別に感情として何も残っていないですもんね(笑)。

20世紀はみんなの時代だけど、平成は自分たちの時代という感じがします。“自分にとっての平成”って人によって違うから、イベントでも一方的にコンテンツを押し付けるようなことはしたくなくて。

だから、イベントで流す曲のプレイリストも運営側だけで作るのでなくて、一緒に作りたいと思ったんですよね。そうすれば、イベント当日だけじゃなくて、それまでの過程にも参加していることを楽しめるのかなと。

エモーショナルがビジネスになるのは東京ならでは

なにより平成ってネガティブな印象を持たれがちじゃないですか。だから、時代を肯定する場を作りたくて。

たしかに、テロとか事件とかが目立っていて、だから若者はサブカルチャーを通してその鬱憤を晴らしてきた時代なんじゃないかと思います。ネガティブな社会背景があって、それでも自分の周りだけは楽しみたい、みたいな気持ちが個別最適化とかエモーショナルなビジネスにつながっているんじゃないかと思います。

個別最適化された社会というのは、ビジネス的にはポジティブなんですか。

その方が逆にやりやすい気がします。一人一人に向けてコンテンツを刺しにいけるし、お客さんも自分のためのものだって思ってくれるから、お金を払ってくれる。

広告などのこれまで“公共性”が高いと思われていた商材も、個別最適化されるんでしょうか。

私がとある大手企業のクラフトビールのキャンペーンに関わったんですが、マス向けではなくターゲットを絞って宣伝をしたいということで、コアなファンを持つアーティストを集めてイベントをやったんです。その時だけのイベントってエモーショナルだし、その場に来ている人が音楽とともにビールを楽しんでくれたのはうれしかったですね。しかも、会場で知らない人同士が音楽という共通の趣味を通じて仲良くなったりして。大きな企業でも商品によってはこんな風にエモーショナルな宣伝をするんだなあと実感しました。

小さなコミュニティーに対して体験を提供することが、時代に合ったビジネスの生み出し方なのかもしれないですね。

クラウドファンドの「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」などを活用してコワーキングスペースを作ろうと思っているんですが、別のフロアに日本茶とビールを楽しめる銭湯を作りたいんです。銭湯って昔からある独特のコミュニティーで、現代だからこそ、仕事の後に銭湯に来てお酒を飲んで帰るみたいなコミュニティーを作れば、仕事に対する思いとかも変わるんじゃないかなと思って。でも、こういう“エモい”コミュニティーがビジネスになるのって、東京ならではという気がします。

東京には一通りなんでもモノがあって、人々にも経済的な余裕があるからですかね。ビールを飲むのでも、どこどこのビールが飲みたい、みたいな。私としてはモノ消費、コト消費の次には“精神的あり方の消費”があると思っていて。どういうことかというと、何を選ぶかで自分のあり方を表現するんですよね。東京では、何かを選択することで自分のあり方を表現するような時代が来ているのかもしれないです。だからホテルでもいろんな選択肢を増やすことで「自分にとってしっくりくるものがある」状態を作ることは、社会からの個人に対する容認になる。少しでも個人が生きやすい社会につながるのかなと。

地方には地域の強いコミュニティーがありますが、東京では物理的な近所ではなくて、ユルくつながることができるコミュニティーが存在しているのかもしれないですね。

フェラガモは引き続き減収減益 主力のフットウエアの低迷が響く

サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO以下、フェラガモ)の2018年12月期決算は、売上高が前期比3.3%減の13億4684万ユーロ(約1670億円)、純利益が同21.0%減の9018万ユーロ(約111億円)の減収減益だった。

商品カテゴリー別の売上高は、主力のフットウエアが同5.9%減の5億5472万ユーロ(約687億円)、アパレルは同14.9%減、アクセサリーも同8.5%減と軒並み減収となった中で、ハンドバッグを含むレザーグッズが同1.0%増の5億2144万ユーロ(約646億円)、香水は同5.6%増の9410万ユーロ(約116億円)とわずかに明るい材料となった。

地域別の売上高は、売り上げ全体の4割近くを占めるアジア太平洋地域(日本を除く)で同1.0%増の5億554万ユーロ(約688億円)となり、現地通貨ベースでは同0.8%減だった。ヨーロッパは同6.1%減、北米も同5.4%減となった。売り上げの8.6%を占める日本は、小売りで多少の伸びがあったものの卸売りを戦略的に整理したことで相殺され、同0.4%減の1億1903万ユーロ(約147億円)となった。

18年12月の時点で同社は672店を運営しており、うち409店が直営だ。売り上げ全体の65.2%を占める小売りの売上高は同3.0%減で、同じく33.2%を占める卸は在庫調整の影響もあって同3.8%減となった。同社は、売り上げ減少の要因として、フランスやイタリアに関しては地政学的な問題もあったとしている。また、中国の消費者が旅行先ではなく中国国内で買い物をするようになったことが、ヨーロッパだけではなく日本や韓国の売り上げにも響いたという。

ミカエラ・ル・ディヴェレック・レミ(Micaela Le Divelec Lemmi)最高経営責任者(CEO)は、「業績回復の戦略は1年で完了するものではないので、今後も気を引き締めて実施していく。社内のコミュニケーション改善やデジタル化の推進、カルチャーに関する戦略にも引き続き取り組んでいくが、タイミングよく戦略を実行することがカギだと考えている」と語った。

現職に就任する前、レミCEOはケリング(KERING)に20年勤務した後、同社が擁するグッチ(GUCCI)でエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高執行責任者とエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高顧客責任者を務めている。そうした経験をフェラガモで生かしているのかというアナリストの質問には、「どちらも全く違うブランドなので、『グッチ』を汎用化して適用することはできないし、それぞれのブランドのDNAや価値を大切にしなくてはならない。事業戦略はブランドの価値と結びついたものであり、それをさらに拡大するために実行するものだ」と答えた。また、主な顧客層については「ミレニアル世代ではないが、長年ひいきにしてくれた顧客を大切にしつつ、より若い世代にもアピールする戦略も取っている」とコメントした。

「インターナショナルギャラリー ビームス」でアイウェア

ビームスでは原宿の「インターナショナルギャラリー ビームス」にてメンズ・レディースのアイウェアを集めたスペシャルイベント「International Gallery Eyewear Collection」(4月29日?5月11日)を開催する。このイベントは日差しの強くなる夏に向けて、アイウェア製品を充実しようという試みで、会期中は、通常展開していないアイテムが期間限定で販売される。

このイベントの注目ブランドは、 ロンドンコレクションブランド「ケイスリー・ヘイフォード」のアイウェアも手がけた「ブラン(BLANC)」(2万3000円〜)。「ブラン」は日本人デザイナーによるブランドで、キャッチーなデザインと日本人の顔にフィットするものづくりが人気を集めていて、2014年春夏の展示会でも好評だったという。

その他には「エミリオプッチ(EMILIO PUCCI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのアイウェアデザインを手がける「リンダファロー(LINDA FARROW)」(3万2000円〜)、60年代中期から80年代後期のヴィンテージスタイルをベースにしたクロアチア生まれの「シェリフ&チェリー(SHERIFF&CHERRY)」(2万1000円〜)、曲がるテンプルがセレブリティから人気の「ペルソール(PERSOL)」(2万5000円〜)、「プラダ(PRADA)」のアイウェアを手がけたロサンゼルス発の「オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)」(2万5000円〜・全て税抜き)といったアイウェアブランドが揃う。

インターナショナルギャラリー アイウェア コレクション
期間:4月29日(火)?5月11日(日)
場所:インターナショナルギャラリー ビームス 1F

「ディオール」マリア・グラツィアが復刻した“サドル”バッグを発売

ディオール(DIOR)」は7月19日、2018-19年秋冬の“サドル(Saddle)”バッグを発売した。1999年にアーティスティック・ディレクターを務めていたジョン・ガリアーノ(John Galliano)が発表したアイコンバッグで、乗馬の鞍(サドル)の形に“D”のチャームを合わせたデザインが特徴的だ。当時、ビヨンセ(Beyonce)やエル・マクファーソン(Elle Macpherson)らセレブリティーが愛用していた他、米テレビドラマ「SEX and the CITY」でサラ・ジェシカ・パーカー(Sarah Jessica Parker)が使用したことで爆発的な人気となった。

新作の“サドル”バッグは現アーティスティック・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)によって復刻されたもの。素材はモノクロームレザー、“Dior”の文字を並べたアイコニックな “ディオール オブリーク”をのせたキャンバス、70年代風パッチワーク、手作業の9つの刺しゅう入りモデルなど。フリンジとメタルピースで装飾したショルダーストラップで、斜めがけで着用することができる。サイズはミニとミディアムの2型をそろえる。価格帯はミニが26万~65万円、ミディアムが32万~94万円。ショルダーストラップが18万~22万円。

キウリは「“サドル”バッグのタイムレスな美しさを復活させるいい機会だと考えた。メゾンにおける近年の歴史から誕生したアイコンは、人生の日々の闘いに立ち向かうための完璧なアクセサリーだと思う。シャツやジャケットのように身に着けるこのバッグはストラップの仕様が快適でその存在を忘れてしまうほど。実用的であるのは、必要なものすべてを備えて持ち運べるようにするため。また、実用性を求めてバッグをより大きく丈夫にするだけでなく、同時にカラフルで、刺しゅうやビーズを施したフリンジを加えて、カメレオンのようにあらゆるシチュエーションに合うアイテムにしたかった」とコメントしている。

また2019年春夏の「ディオール」のメンズでも、キム・ジョーンズ(Kim Jones)が“サドル”バッグをアレンジした新作バッグを発表している。